栄養素とは
有機物と栄養素
人間など生物の体は有機物からできています。有機物とはタンパク質、脂肪、炭水化物など炭素を含んだ化合物のことで、植物は無機物から有機物を合成することができます。
人間を含む動物は自ら有機物を合成することができないので、生命を維持するために食事をすることで有機物を取り込んでいます。
食事で摂取した食物は、体内で消化、吸収され、代謝によってエネルギー源や体の構成成分に変換されます。これらの一連の現象を「栄養」といい、栄養のもとになるのが「栄養素」です。
栄養素は初め、牛乳の成分から見つかりそれが「糖質(炭水化物)」「脂質」「タンパク質」で、三大栄養素と言われています。その後、鉄やカルシウムなどの「無機質(ミネラル)」と「ビタミン」が加わり三大栄養素を含めて五大栄養素と呼ばれています。
「食物繊維」や「水」も栄養素として考えられますが、これらの栄養素のうち、人間の体内で十分に合成できず、欠乏すると体に問題が生じるものを「必須栄養素」と呼んでいます。
食べ物に含まれる栄養素は、水分を除くと糖質が50~60%で、残りはタンパク質や脂質が大部分を占めます。
栄養不良に陥ると・・・
私たちの生活は以前と比べ格段に豊かになり、栄養不良はだいぶ少なくなったと言えます。しかしながら、病気になった人や高齢者の中には栄養不良状態が見受けられることがあります。
ケガや病気になると食欲不振によって栄養素の摂取量が減ってしまい、それで栄養不良状態に陥ってしまうのです。
栄養不良状態になると、傷が治りにくくなることが知られており、褥瘡(床ずれ)などは栄養不良のときに起こりやすく、また一度かかるとなかなか治りません。傷を治すにはタンパク質が必要であり、その合成に栄養素が必要だからです。
大きなケガや病気では食欲不振にともなう栄養不良状態に特に注意すべきであり、また栄養不良になると感染症にかかりやすくなることも知られています。日ごろから栄養素をしっかり摂ることがとても大事だということが改めてわかります。
栄養が多すぎると・・・
栄養素をしっかり摂らなければならないことはわかりましたが、では摂りすぎるとどうなってしまうでしょうか?
しっかり栄養素が蓄えれらて丈夫な体になるようなイメージもありますが、残念ながら摂りすぎると今度はメタボリック症候群と呼ばれる生活習慣病の危険がでてきてしまいます。
メタボリック症候群は50歳を過ぎるあたりから様々な障害が出始めて糖尿病、脂質異常症、高血圧などの異常が現れ、心筋梗塞や脳卒中など生命に関わる病気を発症する可能性があります。
平均寿命が80歳を超える現代ではありますが、栄養バランスのよい食生活を心がけ、摂りきれない場合はサプリメントなどを服用することで大切な栄養素が不足しないようにすることが大事です。
参考:中原豊「よくわかる栄養学の基本としくみ」(秀和システム)