糖質 ~体の重要なエネルギー~
体に必要な三大栄養素の内の1つ糖質ですが、最近では糖質オフ関連の商品が人気が出るなど、何だかあまり良いイメージを持っていない人もいるようです。恐らくメタボリック症や生活習慣病に関連付けてしまうからではないでしょうか。
ですが、糖質が無いと人は動くことができません。摂りすぎてもダメですが、摂らなくては生きていくことが不可能になってしまいます。上手に付き合いできるように、ちょっとだけ糖質について学んでみましょう。
【エネルギーの放出役 ATP】
糖質は体内でATP(アデノシン三リン酸)を生産します。ATPは分解されるとエネルギーを放出され、これが生命活動の維持につながります。ATPは糖質と脂質から最も多く合成されます。ちなみに同じような意味で炭水化物という言葉も用いられます。炭水化物は糖から成り立つので糖質ですが、その中でも高分子のものを指すことが多いようです。
激しい運動やトレーニングを行うと、体は炭水化物を大量に消費してグルコースを得ます。さらにそのグルコースからエネルギーを得ます。そのグルコースからピルビン酸まで代謝される経路を解糖系と呼び、無酸素でエネルギー産生が行われ、このエネルギーを使用する運動が無酸素運動です。還元されて乳酸になると筋肉疲労の原因になります。
ピルビン酸はアセチルCoAという物質に変換され、ミトコンドリアへ送られて多くのATPを産生します(アセチルCoAは脂肪酸の燃焼によっても生成されます)。この経路はTCAサイクル(クエン酸回路)と呼ばれ、酸素の存在下で行われます。このエネルギーは有酸素運動で使用され、ジョギングや歩行など比較的ゆっくりと長く行われる運動が該当します。
【糖質の種類】
糖質にはいろいろな種類があります。単糖類を基本単位として構成されており、「単糖類」「二糖類」「オリゴ糖」「多糖類」に分類されます。単糖類は自然界に200種類以上が確認されており、炭素原子の数で分類されています。このうち6個の炭素からなるヘキソースは、グルコース、フルクトース、ガラクトースを含み、栄養の中でもっとも重要な単糖類です。
さらにグルコース(ブドウ糖)がそのヘキソースの中でも重要であり、糖質の代謝はグルコースを中心に行われています。グルコースはATPの産生に関わり、エネルギー源になります。ちなみに血糖値は血液中のグルコースの量で表されます。脳や神経細胞、血球細胞は大部分のエネルギー源をグルコースに頼っており、低血糖に弱い側面があります。低血糖になると意識がなくなり、それが続くと死に至るケースもあります。
参考:中屋豊「よくわかる栄養学の基本としくみ」(秀和システム)